Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
Lesen Sie 恐怖の口笛 (きょうふのくちぶえ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.713 Zeichen · 122 Bildschirme
「早く医者を呼んで……」
青竜王は誰にともなく命じると、そのままジュリアを抱えあげて、とっとっと三階の彼女の部屋にまで運んだのであった。
扉をあけて入ると、室の中央にはいつになく大きなソファが出してあり、その上には真白の絹の布がフワリと掛けてあった。
「ああ、これがジュリアの覚悟だったんです」
そういって青竜王は、ジュリアをソッとその白絹の上に横たえた。――右の上膊に、喰い切ったような傷口があって、そこから鮮かな血を噴いているのが発見されたのもこの時だった。傷口は直ちに結ばれたけれど、それは彼の深傷にとって、何の足しにもならなかった。
近所の医師が、看護婦を連れて飛びこんで来て、早速診察をしたけれど、その後で医師は不機嫌に首を振って、一語も喋ろうとはしなかった。
「ジュリアさん。僕が分るかい。僕は一郎だよ」
といって、青竜王はジュリアの額を撫でてやった。その声が感じたのか、ジュリアは微かに目を開いた。そして苦しそうに口を動かしていたが、やっとのことで、
「千鳥さんにも、詫びてちょうだい。……お二人して……祈ってネ……」
とまで云ったかと思うと、俄かに胸を大きく波うたせて、息を引取ってしまった。