Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
Lesen Sie 恐怖の口笛 (きょうふのくちぶえ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.713 Zeichen · 122 Bildschirme
一郎はジュリアを元の席に坐らせたが、美しい女王は昂奮に慄えていた。
「これは貴女の耳飾りから落ちた石でしょう。これは僕が拾って持っていたのです、警官や探偵などに知れると面倒な品物です。お土産として、貴女にお返しします」
ジュリアは一郎に悪意のないのを認めたらしく、急いで青い宝石を掌の中に握ってしまうと、激しい感情を圧え切れなかったものか、ワッといって化粧机の上に泣き崩れた。それにしても一郎は落ちた耳飾の宝石を何時何処で拾って来たのだろう。
「ジュリアさん。云って聞かせて下さい。貴女は四郎と日比谷公園の五月躑躅の陰で会っていたのでしょう」
「……」ジュリアは泣くのを停めた。
「僕はそれを察しています。つまり耳飾りの落ちていた場所から分ったのですが」
「これはどこに落ちていたのでしょう」とジュリアは顔をあげて叫んだ。
「それは四郎の倒れていた草叢の中からです」
「嘘ですわ。あたしは随分探したんですけれど、見当りませんでしたわ」
「それが土の中に入っていたのですよ。多勢の人の靴に踏まれて入ったものでしょう」
「まあ、そうでしたの。……よかったわ」
それはすべて一郎の嘘だった。