Japanische Klassiker mit Furigana
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うらみなきさつじん
恨なき殺人
宮島 資夫
Lesen Sie 恨なき殺人 (うらみなきさつじん) von 宮島 資夫 (みやじますけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.611 Zeichen · 56 Bildschirme
「オイ、君、一寸」と誰かを呼んで、訳けのわからない質問をはじめるのが定りであった。池田はそんな時にはよく議論をした。
けれどもその晩は、晩酌がすんでも石山は黙っていた。
ランプをつけると、前の畑や、向うの山の葉蔭から、小さな虫が雲のように集って来た。若い事務員はその虫を防ぐために、又た面白半分に縁側の前でかがり火をたいた。風の加減で煙が座敷一杯に舞い込んで来ると、誰も外に出てしまった。夜はさすがに、山奥らしい涼しい風が吹いていた。空には夏らしく星が光って、山は黒く立っていた。
池田は広場の隅に積んである鉱石の俵に身をもたせて、空を仰いでいた。沼田がその傍で細い声で鼻唄をうたっていると、
「沼田君、昨夜のかたきを打とう」と、しまりのない声で石山が呼んだ。
「やりますかな」と云ってから、「よし、又小っぴどく負かしてやろう」と呟いた。
「この容子じゃ駄目だな」と池田が囁くと、
「黙っているなら打っちゃっとけよ」と言って沼田は座敷の方へ行って了った。
阿部も大谷も、仲間の家へでも行ったのか、姿が見えなかった。
池田は話し相手もなくなったので、暗い道をソロソロ歩きながら、下の方の仙太という酒店に行った。