Japanische Klassiker mit Furigana
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あくいんねんのうらみ
悪因縁の怨
江見 水蔭
Lesen Sie 悪因縁の怨 (あくいんねんのうらみ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.705 Zeichen · 28 Bildschirme
デブデブ肥満った漁師の嬶さんが、袖無し襦袢に腰巻で、それに帯だけを締めていた。今時こんな風俗をしていると警察から注意されるが、その頃は裸体の雲助が天下の大道にゴロゴロしていたのだから、それから見るとなんでも無かった。
「好い景色では無いか」
「左様で御座います。第一、海から来る風の涼しさと云ったら」
茶店に休んで、青竹の欄干に凭りながら、紺地に金泥で唐詩を摺った扇子で、海からの風の他に懐中へ風を扇ぎ入れるのは、月代の痕の青い、色の白い、若殿風。却々の美男子であった。水浅黄に沢瀉の紋附の帷子、白博多の帯、透矢の羽織は脱いで飛ばぬ様に刀の大を置いて、小と矢立だけは腰にしていた。
それに対したのが気軽そうな宗匠振。朽色の麻の衣服に、黒絽の十徳を、これも脱いで、矢張飛ばぬ様に瓢箪を重石に据えていた。
「宗匠は、なんでも委しいが、チト当社の通でも並べて聞かしたら如何かの。その間には市助も、なにか肴を見附けて参るであろうで……」
「ええ、そもそも羽田の浦を、扇ヶ浜と申しまするで、それで、それ、此地を要島、これは見立で御座いますな。相州江の島の弁財天と同体にして、弘法大師の作とあります。