Japanische Klassiker mit Furigana
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せきべつ
惜別
Lesen Sie 惜別 (せきべつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.984 Zeichen · 178 Bildschirme
たまりかねて私は、それだけはやめてくれ、と口をとがらして抗議したら、周さんはけげんな面持ちで、だって日本では、子供に向っては、子供の言葉で、おてて、だの、あんよだの、そうでチュか、そうでチュか、と言うでしょう、それゆえ女性に対した時にも女性の言葉で言うのが正しいのでしょう、と答えた。私は、でも、それはキザで、聞いて居られません、と言ったら、周さんは、その「キザ」という言葉に、ひどく感心して、日本の美学は実にきびしい、キザという戒律は、世界のどこにもないであろう、いまの清国の文明は、たいへんキザです、と言った。その夜、私たちは宿で少し酒を飲み、深更まで談笑し、月下の松島を眺める事を忘れてしまったほどであったのである。周さんもあとで私に、日本へ来てあんなにおしゃべりした夜は無いと言っていた。周さんはその夜、自分の生立ちやら、希望やら、清国の現状やらを、呆れるくらいの熱情を以て語った。東洋当面の問題は、科学だと何度も繰りかえして言っていた。日本の飛躍も、一群の蘭医に依って口火を切られたのだと言っていた。一日も早く西洋の科学を消化して列国に拮抗しなければ、支那もまた、いたずらに老大国の自讃に酔いながら、みるみるお隣りの印度の運命を追うばかりであろう。