Japanische Klassiker mit Furigana
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せきべつ
惜別
Lesen Sie 惜別 (せきべつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.984 Zeichen · 178 Bildschirme
してあげます、一箱わずか二元という事にしましょう、いかがです、と自分に尋ねた。自分は思い惑って即答しかねていると、病床の父が自分の顔を見て幽かに頭を振って見せた。父もやはり自分と同様に、この大先生の処方に絶望している様子であった。自分は途方に暮れて、ただ父の枕元に坐って、父の死を待っていなければならなくなった。父の容態が愈だめと思われた朝、近所の衍という世話好きの奥さんがやって来て、父の様子を一目見て驚き、あなたはまあ、何をぼんやりしているのです、お父さんの魂は鬼界に飛んで行こうとしているではありませんか、早く呼び戻しなさい、大声で、お父さんお父さん、と呼びなさい、呼ばないとお父さんは死んでしまいます、と真顔で自分を叱ったのである。自分は、そんなおまじないの如きものを信じなかったが、しかしいまは、溺れる者の藁をつかむ気持で、お父さん! と叫んだ。衍奥さんは、もっと大きい声で呼ばなければだめです、と言う。自分はさらに大きい声で、お父さん! お父さん! と連呼した。もっと、もっと、と傍で衍奥さんがせき立てる。自分は、喉から血が出そうになるまで叫びつづけた。