Japanische Klassiker mit Furigana
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せきべつ
惜別
Lesen Sie 惜別 (せきべつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.984 Zeichen · 178 Bildschirme
有様になったらしい。けれども、当時、私はそんな事情はまだ知らなかったので、仙台の観客たちは、この先代萩を見てどんなに興奮しているだろう、とその熱狂振りを見たいという期待もあって小屋にはいったのであるが、観客は案外に冷静、しかもやっと五、六分の入りなので、おやおやと思う一方また、さすがは大仙台の市民だ、自分のお国の事件が演ぜられているのに平気な顔して見物している、これが大都会の襟度というものかも知れないなどと、山奥の田舎から出て来たばかりの赤毛布は、妙なところに感心したりして、そうして、雀三郎の政岡の「とは言うものの、かわいやな」という愁歎場を見て泣き、ふと傍を見ると、周さんが立っている。やっぱり涙を流している。それを見たら、なおさら私は泣きたくなって、廊下に飛び出し、思いきりひとりで泣いて、それから涙を拭いて立見席にかえり、周さんの肩をぽんと叩いた。
「ああ、」と周さんは私の顔を見て笑いながら手の甲で涙を拭き、「あなたは、さっきから?」
「ええ、この幕のはじめから見ていました。あなたは?」
「僕も、そうです。この芝居は、どうも、子供が出て来るので、つい泣いてしまいますね。