Japanische Klassiker mit Furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
「おい、食いものをもらってこい、腹がへった」
控え室にやっと荷物を運び入れると、ベースの小林がいった。バンド・マンたちは、トラックを降り、懐中電灯で一人一人顔を照らし出され形式的に人数をかぞえられてから、ふいに寡黙になり不機嫌な表情をうかべている。それが米兵や女たちの視線に耐えるためか、仕事にかかる気負いなのかは知らなかった。鍵のこわれた扉の前の通路をアルバイトらしい日本人の学生服のボーイたちが、金属の盆をもって速足に通りすぎる。食事は、やはり日本人の、これは揃いの純白のエプロンをつけた娘たちに申し出ればよかった。「八人かね」背の低い脚の太い娘は疲れたようなのろのろした口調でいい、とりについてくるようにといった。薯を茹でるむっとした匂いの充ちたキッチンに入ると、彼は網戸の外を見ていた。女たちが、彼を恥じさせたのではなかった。彼は彼の空腹を恥じていたのだった。同じような感じの娘たちはなにもいわず、一様に表情がなかった。一人の注いでくれた珈琲が痛みのように腹に沁みた。信二の腹が鳴った。娘は笑い出した。眉のうすい、ひどく痩せた娘だった。
「あんた、ジャズは嫌い?」