Japanische Klassiker mit Furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
目の前に星が飛んで、信二はしばらくは起き上ることができなかった。おさえた掌にぬるぬるしたものがさわった。唇が破れていた。
血は、口のなかにもあった。立ち上ると、彼は唾を吐いた。からだは不安定に揺れうごいた。彼は立っているのがやっとだった。
「ヘイ」声がいった。少尉は信二の腕をつかんでいた。「あの娘は、お前のスイートハートなのか」
「ノオ」はげしく彼はいった。
「違う? ふん、じゃお前はなんだって娘についてきたんだ。なんでおれをとめた。余計なことだとは思わないのか?」
「彼女は、僕の恋人じゃない」肩をゆすられると、骨にひりひりとした痛みが走った。呻いて、信二は頤をおさえた。
少尉は声を大きくした。「おい、ウェイトレス、来い」
「なぜ呼ぶんだ」信二はあえいだ。「彼女は来る必要がない」
「かまわん」と少尉はいった。大声でまたどなった。明るみに出てきた娘は、寒そうに両腕でトッパアの胸をかかえていた。走り寄って信二にかじりついた。「血!」娘は理由を訊かなかった。おびえたように信二を強く抱いて、二人は脚でたがいに支えあうようにしていた。
「この少年は、お前のスイートハートだろう?」