Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あいのごとく

愛のごとく

山川 方夫

Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

仕事は、銀座裏の縦にばかり細長いビルの四階にのぼって行き、そこで顔の蒼黄いろい中年の男から受けとればよかった。「黒の女」はきっと九州にいる。信二はそれを信じていた。彼は仕事の行先きを訊くたびにだから落胆した。レシートの目的地は名古屋か、せいぜい関西かに限られていたのだった。彼の満十八の誕生日が過ぎて行った。兄はバンドをやめなかった。名古屋行きの仕事がきた。信二は名古屋で返信を横浜の本店に送るのを依頼された。代金は千円で、これはビルの男にだまっていればよかった。

彼はその商社の宿直室にひと晩泊った。あくる日、横浜には午後についた。桜木町駅の改札口を出ようとして、信二は、そして思いがけず、半年ぶりで「黒の女」をみたのだった。

国勢調査やさまざまな催し物、いくつかのなんとか週間やらが重なって、賑わしくすぎたその月の終りだった。久しぶりに横浜の空気を嗅ぎ、秋の澄んだ空を列車の窓から眺めながら、彼は「黒の女」に向って出発したのにすぎなかったあの日を、それから駈けるように去った、しかし長い一年を、自分のなかに感じとることができた。一年、と彼は思った。ちょうど一年。