Japanische Klassiker mit Furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
酔っぱらうと木でも電柱でも、高いところに臆せずよじのぼって、知っているかぎりの歌を気分をこめて歌いまくるあの癖、澄ましかえって童謡舞踊をおどりだすあの癖。私はいつか意地わるく、マリは芝居より芝居ものの生活の方が好きなようで困る、と冗談めかしていった記憶がある。それとあの一本気な、おしつけがましい親切と議論好き。マリには、どこかひどく分別くさい勝気な女子高校生みたいな面もあって、在学中に保井と結婚したのも不似合いなことではなかった。二人のロマンスはメーデー事件から生れたというのだったが、私はデモには行かなかった。
佐藤のつれてきた局の専属劇団の若い娘は、片隅で台本の上にかがみこんで、熱心に手を動かしつづけている。よくみるとちびた赤鉛筆を掌のなかに握りこんで、彼女は台本のうらに睫のながい人形の漫画をかき、細く白い指に力をこめ、その唇を塗りつぶすのに熱中していた。「あれで行くぜ、作者」佐藤は私に目で合図をした。「案外にイカす子なんだ、歌もちょっとなら歌えるしな」
「歌なら、私だって」母親役の女優は不機嫌をかくさずにいった。「私が、マリの代役をやるのは、できない相談なの?」