Japanische Klassiker mit Furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Lesen Sie 愛のごとく (あいのごとく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.908 Zeichen · 210 Bildschirme
「それは久保、君が臆病だからじゃない?」とおだやかに保井進がいい、真理子は姉さんぶり、「気楽な独りもんで、まだまだうんと浮気でもして遊んでいたいんでしょう」といった。「そういうことになるのか」と私は二人にいい、「これはだめだな、もう。つまり、君はまだほんとにひとを愛したことがないのさ」と進がつけくわえた。
「しようのないひとねえ」と、すると意外に上機嫌な声音で、真理子が溜息まじりにわらった。彼女は早くもそうとうに酔っぱらってい、歌が出はじめたのはその直後だった。進がそれに和して、二人はいい気持ちそうにロシア民謡をかたっぱしから合唱した。
私はあの夜の顛末を思いおこし、怒ったようなムキな表情を自分の頬に感じて、やっと真理子をそのときの顔つきとともにいきいきと思いうかべていた。保井家に向かう旧式の小型バスは震動がはげしかった。白バラを買って行こう、胸にあふれるほど、と私は思いついた。すると、私にははじめてその花が無益なこと、あの真理子がこの世にいないということが、肌をすり寄せていた隣りの客が忽然と姿を消したように、奇妙に納得のしがたい、しかし奇妙に真実味のあるものとして意識された。