Japanische Klassiker mit Furigana
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あいしょへき
愛書癖
辰野 隆
Lesen Sie 愛書癖 (あいしょへき) von 辰野 隆 (たつのゆたか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.404 Zeichen · 23 Bildschirme
十八世紀の末頃の話だと思うが、フランスのランスの図書館司書にエル・パリスと云う人がいた。彼が永年の図書館生活の経験から次の如き言をなした。「書物に関しては如何なる人も信用してはいけない。有徳の君子にも心を許してはならぬ。私の知人に有名な本盗人があった。其男は金をかけずに稀覯書を蒐めるのに妙を得ていた。彼は好んで落丁のある珍書を安く買い集めていた。どうするのかと思うと、彼は愛書家と親しくなってその書斎を見せて貰う時などに、自分の本と同じ本があると、人の目を掠めて、落丁の部分に相当するだけを切取って来る。また、書物の競売の催されるような日には、彼は予め下見をする際に欲しいと思う本があると、窃かに一頁だけ引き割いて置く。そして愈々競売が始まると、係りの者に例の書物を示して、落丁があるから安くしろと云って、うんと値を引かせてから買い取る。家に帰ってから、先に切取った頁を貼り付けて置くのが彼の慣用手段である。私は此男が図書館にやって来ると、一刻も目を放せなかった。私は或時彼に云った。――私は君が大好きだ、年中君の傍にいたい、どうぞ、今後は私と同じ机で、図書館の本を読んで貰い度いと。