Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
つきもの
憑きもの
豊島 与志雄
Lesen Sie 憑きもの (つきもの) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.983 Zeichen · 27 Bildschirme
別居、離別とまではゆかなくとも、せめて別居。――その決心が蘇ってきた。もとより、秋子に対してのことではない。酒に対してのことだ。平たく言えば、酒と同居するほど常住には飲まず、さりとて離別するほど禁酒はせず、別居という程度に節酒するという、甚だ頼りない次第であり、実はまた最も困難な次第でもあった。
考えてみれば、もともと酒好きではあったが、斯くも酒飲みになったのは、どうやら、自分の才能を発見してからのことらしい。カストリ雑誌とか何とか言われて、世間にもてはやされる有力誌の、いやしくも編輯者たるものは、須らくカストリぐらいは飲まざる可らず、などと言っているうちはさほどでもなかった。ところが、その編輯者たる自分のうちに、優秀な執筆者の才能を発見するに及んで、事態は進展してきた。この優秀な執筆者の才能なるものが、頗る妙なもので、第一には、悪文を綴ることだ。すべて名文というものは、なだらかで滑っこく、手の捉まりどころもなく、足の踏みしめどころもないが、悪文となれば、至る所に瓦礫があり刺があり凸凹があり、ひっかかるとこばかりで、読書慾を充分に満足させるのである。