Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
彼はマントを着ていたように覚えているが、うろ覚えかも判らない、どうも百田宗治はいつもマントをふうわりと着ている男におもえてならないのである。と、いうことはマントがよく似合う紳士だという意味かも判らぬ。百田とはよく共通の宴会などで行きあうと、私もそうであるが、百田はいつも会場の入口で私を待っていてくれた。冬の晩の宴会が多かったらしく、百田は例の黒のマントを着ていた。そして二人はわずかばかりの酒を街の中で、きゅうくつな宴会のつぐないにして愉しく愛飲したものである。
一個の方舟
各々一対の生物をでなく――今日あらゆる無数の獣類、鳥類、虫類を入れ、
ある選ばれたる種族のうちの幾人をでなく――一切の人間、盗賊をも殺人者をも内にしたノアの方舟、
宇宙をさまよふ一個の方舟!
いかなる国より
いかなる国よりこし人ぞ
あえかにも
わが前に来たまひし。
いかなる国より
こし人ぞ
わがふところに
眠りたまひぬ。
君わが名を呼ぶ
黄昏となれば
君、わが名を呼ぶ、
かれらかく在るを不思議とて。 (後略)
山茶花
庭の樹々のうへを、
しろい山茶花の花々のうへを
しづかにかげつてゆく陽がある。
――しづかに失はれてゆく希望がある。