Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
だから千家を悪くいう人は一人もいなかったであろうし、皆、千家には悪気なんかないという最高の人間としての勲章をあたえている。私自身もたまに宴会で行きあうと、此方から微笑みを用意して、この詩人と交わす十分間かそこらの短かい話を愉しんだ。言葉を沢山持たない人であるから話はすぐに絶えるが、絶えて此の人の下手な着物の着方を見ていても、千家らしく好感があった。
尾崎喜八の読破した詩の数でも、千六百二十六篇に及んでいて、それは彼の詩の数から言って十分の一にも足りないそうだが、恐るべき多くの詩の中を踏破したものだ。それはやがて生涯にだぶついた時間の悉くを詩作にそそぎ込んでいたことが判るし、詩をつくる以外には何も外の物は書かずに、また普通の教師とか原稿書きなぞもしなかったことを証するものである。睡っては書き起きては書き、歩いては書き食べては書いていたものらしい。こんなに多くを書き、書くことに少しもこだわらない無邪気さで、書き抜いた詩人はこの人だけであろう。
たとえば自分の子供の育ちをいつも、ゆだんなく見詰め、これを何篇にも書き現わしているが、そこにも素材の行き詰まりが見られるけれど、行き詰まりが却ってよい詩をものがたっている。