Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
この女のひとこそは『智恵子抄』の智恵子であったのだ。
高村光太郎という類のない不思議な人間によって、みがき上げられた生きた彫刻智恵子を見たのは、ただの、この三度の面会だけであった。かれは父光雲像をきざみ、「紫朝の首」「男の首」「園田孝吉像」「裸婦」「今井邦子像」「牛」「腕」「松方正義像」「中野秀人の首」「東北の人」「大倉喜八郎像」「黄瀛の首」「黒田清輝像」「九代目団十郎」「河口慧海像」「木暮理太郎像」などを作り、最後に十和田湖公園功労者顕彰記念碑のため、裸像を製作した。だが、かれが生涯をかけて刻みに刻み上げた彫刻は、智恵子の生きのいのちであったのだ。夏の暑い夜半に光太郎は裸になって、おなじ裸の智恵子がかれの背中に乗って、お馬どうどう、ほら行けどうどうと、アトリエの板の間をぐるぐる廻って歩いた。愛情と性戯とがかくも幸福なひと夜をかれらに与えていた。「あなたはだんだんきれいになる」という詩に、(をんなが附属品をだんだん棄てると、どうしてこんなにきれいになるのか。年であらはれたあなたのからだは、無辺際を飛ぶ天の金属。見えも外聞もてんで歯のたたない、中身ばかりの清洌な生きものが、生きて動いてさつさつと意慾する。