Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおとこのしゅき

或る男の手記

豊島 与志雄

Lesen Sie 或る男の手記 (あるおとこのしゅき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.279 Zeichen · 86 Bildschirme

Aozora Bunko

「馬鹿なことを云っちゃいけない。いくら僕が呑気で図々しくても、もし光子と北海道で変なことがあったのなら、何で家の中にお前の側に引張り込むものか。僕はまだそれほど精神的に堕落はしていないつもりだ。勿論結果から見れば、僕はお前に何と云われたって仕方ないけれど、初めから破廉恥な計画なんかは少しもなかったのだ。僕は光子を井ノ頭に連れて行く時、別に何という気持も持ってやしなかった。ただ彼女からその大事なという話を聞こうと思っただけだ。光子が女だったのがいけないのだ。僕が誰か或る男と井ノ頭に散歩に行っても、お前は気を揉みもしなければ、何とも思いはしないだろう。女だって同じさ。僕はこう思ってる、夫婦というものは一つの生活をしてるのであって、その一つの生活ということのために、恋人同志やなんかよりも、もっと深く堅く結び合されてるのだと。もし僕が独身だったら、若い女やなんかと一緒に歩いたりする時、僕は屹度妙な気分に心をそそられるに違いない。然しお前と夫婦の生活をしてるので、一つの生活をしてるので、若い女の前に出ても僕は平気でいられるのだ。そういう所に、夫婦生活の強みと自由とがあるわけだ。