Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんうんをかるじょかい

戦雲を駆る女怪

牧 逸馬

Lesen Sie 戦雲を駆る女怪 (せんうんをかるじょかい) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.866 Zeichen · 59 Bildschirme

Aozora Bunko

「あたしスペインのマンテラが欲しいんですけれど、いまパリー中のどこを捜してもないんですって。つまんないわ。」

「なに、スペインのマンテラですか、あれが欲しいんですか。そうですか。」

ノルマン・レイ氏は、すぐ顔を輝かして乗り出してきた。今夜どういうものか機嫌が悪くて、些か持てあましていたマタ・アリが、急に天候回復して少女のようにねだりだしたのだから、彼は、カイゼルが降参したように嬉しかったのだろう。四角くなって引き請けた。

「よろしい。大至急スペインから取り寄せることにしよう。バルセロナの特置員へ電報を打って、つぎの便船で送らせますから、わけはない。」

「あら、素敵! すると、いつ来て?」

ノルマン・レイ氏は、商船サアヴィスの理事なのだ。連合国の汽船の動きを、脳髄の皺に畳み込んでいる人である。

「待ちたまえ。」日を繰って考えている。「今日の火曜日と――木曜日の真夜中に、コロナ号がバルセロナを抜錨する。聖ナザアルへ入港るのが来週の水曜日と見て、そうですね、金曜日にはまちがいなく届くでしょう。」

異様に眼を光らせて聞いていたマタ・アリは、レイ氏の言葉が終った時は、もうマンテラにたいする関心をうしなったように横を向いて、小さな欠伸を噛み殺していた。