Japanische Klassiker mit Furigana
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げさくざんまい
戯作三昧
Lesen Sie 戯作三昧 (げさくざんまい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.807 Zeichen · 42 Bildschirme
彼はそれが自分の無能力に裏書きをするように思われて、寂しくなったこともよくあった。が、一方またそれが自分の芸術的良心を計る物差しとして、尊みたいと思ったこともたびたびある。ただ、それを俗人の穿鑿にまかせるのは、彼がどんな心もちでいようとも、断じて許そうとは思わない。そこで彼は、眼を床の紅楓黄菊の方へやりながら、吐き出すようにこう言った。
「時と場合でね。早い時もあれば、また遅い時もある。」
「ははあ、時と場合でね。なるほど。」
市兵衛は三度感服した。が、これが感服それ自身におわる感服でないことは、言うまでもない。彼はこのあとで、すぐにまた、切りこんだ。
「でございますが、たびたび申し上げた原稿の方は、一つ御承諾くださいませんでしょうか。春水なんぞも、……」
「私と為永さんとは違う。」
馬琴は腹を立てると、下唇を左の方へまげる癖がある。この時、それが恐ろしい勢いで左へまがった。
「まあ私は御免をこうむろう。――杉、杉、和泉屋さんのお履物を直して置いたか。」
九
和泉屋市兵衛を逐い帰すと、馬琴は独り縁側の柱へよりかかって、狭い庭の景色を眺めながら、まだおさまらない腹の虫を、むりにおさめようとして、骨を折った。