Japanische Klassiker mit Furigana
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げさくざんまい
戯作三昧
Lesen Sie 戯作三昧 (げさくざんまい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.807 Zeichen · 42 Bildschirme
日の光をいっぱいに浴びた庭先には、葉の裂けた芭蕉や、坊主になりかかった梧桐が、槇や竹の緑といっしょになって、暖かく何坪かの秋を領している。こっちの手水鉢の側にある芙蓉は、もう花が疎になったが、向うの、袖垣の外に植えた木犀は、まだその甘い匂いが衰えない。そこへ例の鳶の声がはるかな青空の向うから、時々笛を吹くように落ちて来た。
彼は、この自然と対照させて、今さらのように世間の下等さを思い出した。下等な世間に住む人間の不幸は、その下等さに煩わされて、自分もまた下等な言動を余儀なくさせられるところにある。現に今自分は、和泉屋市兵衛を逐い払った。逐い払うということは、もちろん高等なことでもなんでもない。が、自分は相手の下等さによって、自分もまたその下等なことを、しなくてはならないところまで押しつめられたのである。そうして、した。したという意味は市兵衛と同じ程度まで、自分を卑しくしたというのにほかならない。つまり自分は、それだけ堕落させられたわけである。
ここまで考えた時に、彼はそれと同じような出来事を、近い過去の記憶に発見した。それは去年の春、彼のところへ弟子入りをしたいと言って手紙をよこした、相州朽木上新田とかの長島政兵衛という男である。