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Japanische Klassiker mit Furigana

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とびらはかたらず

扉は語らず

小舟 勝二

Lesen Sie 扉は語らず (とびらはかたらず) von 小舟 勝二 (こぶねかつじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.481 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

今夜の装飾工事の中心を成すものは、その広間に築き上げられる大装飾塔だ。工事は進行しつつある! 指揮者は装飾部主任MT氏。装飾工が蟻のように群がっている。

然し五階で仕事をしているのは彼の外に二人の仲間だけだ。その二人は五階の向う側をやっている。彼の咽喉が俗謡を唱う。「巴里アパッシュの唄」が、百貨店装飾工の仕事行進曲になっても別に差支えはない筈だ。

暗い冷めたい下水道

濡れて育ったアパッシュは………

彼は仕事の手を止めた。

「はてな? 俺の気のせいかな?………確かにあの扉が動いたように思ったがね」生憎と扉の周囲は照明不足だった「だが、そんな筈はないだろう。今頃あの中に人が居るなんて!………ブルルッ! 万引女の幽霊かな。何しろむやみと扉を動かされちゃあ困るね。立てかけといた丸太がブッ倒れらア」

扉の方を気にし乍ら――

光りを閉ざす地の底の

闇に生れたならず者………

「あッ、いけないや!………誰かあすこに居るんだ!」

彼は口に出して叫ぶ。装飾材料の二本杉丸太が扉の前に立てかけてある。扉が押されれば倒れようとする位置にある。二本共に斜めに倒れる方向は正しく彼の方を指示している!………