Japanische Klassiker mit Furigana
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とびら
扉
小川 未明
Lesen Sie 扉 (とびら) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.143 Zeichen · 17 Bildschirme
四
Kは痩せた手を伸ばしてBの両手を胸の上で組ませた。
二三歩退いて、彼は黒い洋服の隠しの中から時計を出した。白銀に灰色の光線が映じて鈍色に光った。三時……二十分。
Kは、Bの耳許に口を当てた。眼を白くして、ニヤリと冷やかに笑った。……
「待て!」と、Kは起ち上った、出口の扉を堅く閉めて、内錠をかけた。その鉄片の刎ね返った響が、沈黙した室に響き渡った。絶えず倒れた意識ない人の口は動いていた。Kはまたもとの座に返った。Bの傍に跪いて耳許に口を当てた。
「ヨシ! それから……。」
何も聞えなかった。
ただ外に風が吹いていた。時々硝子窓に風の当る音がした。……何も聞えなかった。……時々、Kがこっちを向いて、ニヤリと眼を白くして冷たく笑った顔付が、凄いというより、冷たかった。……
烏が窓の側を近く通って行った。慌しげに啼きもせず……。
四
四辺の沈鬱な森の頂きがしきりに動いていた。風はたえず硝子窓に当っていた。
広い食堂兼控所に十六人のものが集ってKを囲んだ。
Kの顔色は青白く、頭髪は乱れていた。各自は手を組んで、じっとKの顔を見詰めていた。
「犠牲になったのは誰だ?」