Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

とびら

扉

小川 未明

Lesen Sie 扉 (とびら) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.143 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

朝飯のベルが、冷たい空気に染み渡った。

Bは、こっちの隅に自分の体を隠すようにして、戸を押して入って来る人を眺めていた。いずれも生気のない顔をして、顫えながら黙って席に着いた。やがて白い湯気の上る椀が各自の前に配られた。Bは僅かに少しばかり食べたばかりで、やはり落着きのない眼を戸口の方に注いでいた。

後れて一人、また一人入って来たが、もうその後には誰も来なかった。来ないのはKばかりであった。

Bは気が気でなかった。

やはりKは自分のことを何か書いているのだろう。そうでなければ何を書いているだろう?……まだ後れて来るかも知れないとBは食物も咽喉に通らないで、戸口の方を見詰めていた。

その中、一人席を立って出て行った。また一人出て行った。三人去り、四人去った。もう駄目だとBは鬱ぎ込んでしまった。

いっそ、「何を書いていますか。」といって何気ない風で、Kの室に入って聞いて見ようか知らん。いや、それはいけない。却って私の顔を見ると、思わなかった悪感を抱いて余計なことを書くかも知れない。また万一、今書いていることが自分の身の上に関したことでなかったのが、自分の顔を見て、印象を強めたために、自分の身の上のことにしてしまうかも知れない。