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Japanische Klassiker mit Furigana

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てじな

手品

佐左木 俊郎

Lesen Sie 手品 (てじな) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.934 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

二

万は、ほっそり戸外へ出た。

風が少しあった。月が、黒い森に出かかって、明るい雪面の上に長い黒い影を引いていた。月光を受けている部分は銀のように白く光って、折々、西風が煙のように粉雪を吹き捲くっていた。

万は暗い影の中を歩いた。何方を見ても人影が無いので、雪の中に突っ立っては躊躇したが、しかし、戻る気にもなれなかった。万はまた歩いた。そこへ、左手の杉森の中から誰かが出て来た。万はまた立ちどまって待った。

「万氏じゃねえか?」

先方からそう声をかけた。

「平六氏か。」

万は相手の見付かったのを酷く喜んだ。

「吉田様さチャセゴに行くべと思って出て来たんだが、なんにも芸事仕込んで置かなかったから、踊りでも踊れるような真似して酒飲んで来んべと思って。しかし、それじゃあんまり芸のねえ話だが、万氏の方に何か二人でやれる種はねえか。」

「俺も、種のねえのに出て来て、戻るべかと思うていたところだ。貴様が踊る真似するなら、俺あ、歌でも歌うべ。それで悪いって法はねえんだから。」

「それにもう芸を仕込んで行く奴等は、今ごろは、もうとっくに行っているから、俺等、何も芸しなくたって、酒と餅にゃあ大丈夫ありつけるさ。