Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ぬけがみ

抜髪

小川 未明

Lesen Sie 抜髪 (ぬけがみ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.841 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

或時は、もう寡婦で艶気のない、頭髪の薄い、神経質な女だと思った。私は、女のことを考えているうちに、日が暮れた。

やはり雨が降っている。こう幾日もつづいて降ったら皆な物が腐れてしまうだろう。

「そうだ。皆な物が腐れてしまったら……。」と思った。

黒い夜だ。腐れて毒と化たような夜だ。暗い色は漠としているだけだ。黒い色には底に力がある。私は暗い夜でない黒い夜だと思った。私は、深い穴を覗くような気がした。冷たな舌でなめるように風が当る。もう黒い家は分らぬ。あるけれど分らぬ。私は不安であった。けれどやはり私は窓から頭を出していた。

明る日も雨だ。私の空想はもはや疲れた。朝から、青桐に来て烏が止っている。茫然と窓に凭れて、張り付けたような空を見ていると、烏が、時々頭を傾げて何物かに瞳を凝している。私は、手を上げて逐うのも物憂かった。自然に逃げて行くのを待ていると、烏は昵として動かなかった。

私は、窓を閉めた。急に室の中が暗く陰気となった。暫くして、また窓を開けて見ると、まだ烏が青桐に止っていた。……とうとう日が暮れてしまう。

或晩ふと眼を醒すと、窓の障子が明るかった。