Japanische Klassiker mit Furigana
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だきみょうがのせつ
抱茗荷の説
山本 禾太郎
Lesen Sie 抱茗荷の説 (だきみょうがのせつ) von 山本 禾太郎 (やまもとのぎたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.330 Zeichen · 34 Bildschirme
君子は母の死骸を見たように思うし、それは旅をするようになってから見た池のある風景に、母の死を結びつけた夢ではなかったかと思えたりする。祖母の話にしたところで、それを全部覚えているわけではなく、きれぎれに、ちょうど夢を思い出すようにふいと頭に浮かぶ、その一片ずつを想像でつなぎ合わせてできあがった夢物語に等しいものではあるまいか。
しかし人形は今もなお手離さずに持っている。この人形がある限り母の死んだ前後の事情がまるきり夢ではあるまい。だが君子には人形を抱えて遠いところから、知らぬ伯父さんに送られて祖母のところに帰ってきた記憶がすこしもないのである。
祖母は君子が八歳のとき死んだ。
それからの君子は、掘っ立て小屋を捨て、町に出て子守奉公をするようになったが、君子は子守がいやでしかたなかった。ある日空身でなんの当てもなく町はずれに出てみると、そこの空地に夫婦者らしい旅芸人が人を集めて手品を見せていた。女の方は商売道具の傍に坐って太鼓を叩き、その夫らしい男は前に出て玉子を呑んだり、針を呑んで見せたりする。ひとわたり芸がすむと女が立って来てはげたお盆をつきだし一銭二銭と金を集めてまわった。