Japanische Klassiker mit Furigana
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だきみょうがのせつ
抱茗荷の説
山本 禾太郎
Lesen Sie 抱茗荷の説 (だきみょうがのせつ) von 山本 禾太郎 (やまもとのぎたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.330 Zeichen · 34 Bildschirme
だから君子が母の死因を探すことがきっと恐ろしいのだ。それで禍の根を断つために自分を殺そうとしているのだ。母を殺したものが父を殺したのだ。自分が殺されてなるものか、きっと復讐をしてやる――と、君子は雄々しくも決心したのであった。
それからの君子は毎夜、用意を整えて待ちうけた。はたして四度目に黒い影の現われたのは十日ばかりの後であった。先のときと同じように長い間障子の外に立っていた黒い影は、暗い君子の部屋のなかに一歩踏み入れて、じっとそこに立ったまま室内をうかがっている様子だった。君子は闇のなかに瞳を凝らした。すると、いつもそうであるようにどこかの廊下から人の歩く足音が聞えてきた。黒い影は口のうちでなにか一言つぶやいたようであったが、そのままもとのとおり障子を閉めて去ろうとした。君子は素早くその後を追った。黒い影は長い廊下をまっすぐに突き当たり、雨戸を開ければ、立木をとおして池の見える縁廊下を静かに歩いて行く。君子は身を隠すところもない長い縁廊下を蜘蛛のように部屋の障子に沿うて後を尾けた、今にも先に行く黒い影が引き返し、襲いかかりはしないかと不安と恐れにはずむ息を押えて。