Japanische Klassiker mit Furigana
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だきみょうがのせつ
抱茗荷の説
山本 禾太郎
Lesen Sie 抱茗荷の説 (だきみょうがのせつ) von 山本 禾太郎 (やまもとのぎたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.330 Zeichen · 34 Bildschirme
黒い影は廊下を曲り小さな橋を渡って離れに消えた。それは未亡人の部屋だった。
やっぱり、考えたとおりだと君子は思った。しかし未亡人なら母の姉か妹か知らないけれども伯母さんに違いはない。たとえそれが伯母であろうと父を奪い、母を殺し、自分の命までも狙う鬼にも等しい伯母なら復讐するのは当然ではないか。ひき返した君子が自分の部屋にはいろうとしたとき、廊下の闇から忍ぶような声がした。松江さん。君子はぎょっとして、そこに立ちすくんでしまった。あんたの身体はきっと僕が守ります。それは下男の芳夫の声だった。
少し風が出たのであろう。ふた子池の葦の鳴る音がかすかに聞える。
私の父がどんなことをしたか、私は子供でなにごとも知りません。しかし子供心に私の知っている父は、とても陽気な男で晩酌の機嫌なぞで唄の一つもやる男でした。それが、私の何歳頃のことでしたか、多分九つか十歳位のときだったと思います。それまで本当にただの一度も他所に泊まってきたことのない父が二、三日でしたか、私には四、五日のように長かったと思います――私には母がなかったのですから、特別父の留守が長かったのでしょう――帰ってこなかったことがあります。