Japanische Klassiker mit Furigana
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だきみょうがのせつ
抱茗荷の説
山本 禾太郎
Lesen Sie 抱茗荷の説 (だきみょうがのせつ) von 山本 禾太郎 (やまもとのぎたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.330 Zeichen · 34 Bildschirme
芳夫はそのまま暗い廊下に消えて行く。
しかし君子にはまだ一抹の疑いが残っていた。ほんとうに未亡人が母を殺したものかどうかなお的確に知りたいと思ったし、ほんとうに殺したものなら生きながら少しは苦しんでもよいはずである。君子はこの二つの目的のために考えを凝らした。
それから数日の後であった。君子は倉庫のなかにしまってあった抱茗荷紋のある琴のゆたんを外し、お高祖頭巾のようにかぶってその夜、ふけてから未亡人の部屋に忍んで行った。襖を開いてうす暗いそこに立つと、まだ寝ついていなかったとみえ、ふとんの上に起き直ったおくさんは、瞬間己の目を疑うように君子の様子を見つめたが、次の瞬間には、あっと低い叫びをあげて立ち上がり、泳ぐような手つきで君子に近づいてきた。が、そこになにを見たのか彫り物のように立ちすくんでしまった。
君子にも気がつかなかったが、君子の後ろには芳夫が立っていたのである。
翌日おくさんは終日床を離れなかった。君子は素知らぬ顔でご用をつとめた。用事のために君子がおくさんのお部屋に入って行くと、いつも芳夫が窓の下に立っていた。
それから、また数日の後だった。