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Japanische Klassiker mit Furigana

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おしかけにょうぼう

押しかけ女房

伊藤 永之介

Lesen Sie 押しかけ女房 (おしかけにょうぼう) von 伊藤 永之介 (いとうえいのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.073 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

一里ばかり離れた部落の倉治という家で、十六になる幸助という三番目の息子を、若勢に出すと言つているというのであつた。源治は雀躍りした。十六と言えば武三よりも一つ年が若いが、使つているうちに直きに一人前働けるようになる。そんな子供ならば、他にそんなに頼み手もあるまい。これは一つ、是が非でもものにしなければと、源治は早速ビツコ足をひきずるようにして頼みに出かけた。

「幸助のことですか、幸助ならば、先に本家から頼まれています」

「本家ツて――どこの」

「あなたの家の――」

ほかならぬ兄の源太郎が、もう先手を打つていると聞いて、源治は顔をかげらせた。源太郎の家では、長男が早くから樺太に渡つて向うで世帯を持ち、次男は出征、三男の源三郎が田圃を仕付けていたが、つい最近これも召集されて、源太郎はスツカリ戸まどいしていた。

「本家は、何俵出すと言つたかな」

よし、それならば米を余計奮発して、幸助をこつちに取ろうと、源治は身がまえた。

「十俵出すという話でしたよ」

「えツ――十俵」

眼をまわしたが、直ぐに気をとり直した。

「十俵とは大したもんだなあ、が、時世時節で仕様がない、俺はもう一俵つけて、十一俵呉れるから、是非とも俺の方に頼む――なあに、本家ではまた他に頼む口があるべからなあ」