Japanische Klassiker mit Furigana
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おしえのきせき
押絵の奇蹟
夢野 久作
Lesen Sie 押絵の奇蹟 (おしえのきせき) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.749 Zeichen · 114 Bildschirme
は御座いますまいか。
こう思い当りました時、私はこの小さな胸が押し潰されてしまって、眼の前が真っ暗になりました中に、二つの青白い鬼火がもつれ合って行くのがホンノリと見えたように思いました。
けれども又気を取り直して、今一度よくよくあと先を考えまわして見たので御座いましたが、考えれば考えるほど思い当りますことばかりが、あとからあとから出て来るので御座いました。
あなたのお父様に似ております私の姿を、朝に晩に見ておられました私のお母様はきっと、こうした不思議について何かしら、心の奥深くに思い当っておいでになったに違いないのでした。あの櫛田神社の絵馬堂に奉納されました額ぶちの外題に「三国志」をと仰有った柴忠さんの御註文を避けて、わざと「芳流閣上の二犬士」の場面をお作りになった、お母様のお心の底には、ついこの間、私が伏姫様のお話を見ました時に思い当りましたのと同じような驚きと喜びが、云うに云われぬ母親の悲しみと一緒に、人知れず潜み隠れていなかったとどうして考えられましょう。その頃の福岡の士族の家庭にはオキマリのように一部ずつ備え附けてありました八犬伝のお話を、お母様だけが御存じなかったと、どうして思われましょう。