Japanische Klassiker mit Furigana
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おしえのきせき
押絵の奇蹟
夢野 久作
Lesen Sie 押絵の奇蹟 (おしえのきせき) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.749 Zeichen · 114 Bildschirme
の処までよく聞えたそうです。
又、その頃の私の家の暮し向きは、僅かばかり来る作米と漢学のお礼のほかはお母様の押し絵や針仕事で立てておられましたので、私が生れますあと先は御両親とも随分お辛い事が多かったろうと思いますが、そんな意味の事も、この手鞠歌に唱い込んでありますようで、誰が作ったものか存じませぬが、ほんとに憎らしくて憎らしくて思い出す度に胸が一パイになります。
けれどもそのせいかして、お母様は鳥目になるといっておセキ婆さんが止めるのも聞かずに、普通の人よりも早く髪を洗ったり、針仕事を始めたりなすったそうです。お父様も亦それから後というものは人が笑うのも構わずに、朝夕のお買物までも御自分でお出ましになりましたそうで、お母様は家にジッとしてお仕事をしておいでになりさえすれば、お父様の御機嫌がよいので、お祖母様は大層お困りになったそうです。
しかし、今になってよく考えてみますと、そうしたお父様のお心持ちが私にはよくわかるように思います。
親の事をとやかく申しますのは心苦しい事で御座いますけれども、この事はハッキリと申上げておきませぬと、これからの先のお話が、おわかりにならぬと思いますから、包まずに認めますが、私のお父様はそうした美しいお母様を一生懸命に働らかせて、お金をお貯めになる楽しみと、お母様を可愛がっ