Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おしえのきせき

押絵の奇蹟

夢野 久作

Lesen Sie 押絵の奇蹟 (おしえのきせき) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.749 Zeichen · 114 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして平生のように私の頭を撫でようとなされずに、ドスンドスンと私の琴を跨ぎ越して、お床の間に置いてある鹿の角の刀掛の処にお出でになって、そこに載せてある黒い長い刀の鞘を抜いてチョッと御覧になりました。

それを又元の処にお架けになると、今度は怖い怖い、今思い出しても身体の縮むような眼つきをしてジーッと私の顔を御覧になりましたが、やがて気味のわるい笑みをお浮かべになりながら、ふるえる私をお抱き上げになって、又お床の間の前に来てお坐りになりますと、やはり私の顔を見入っておいでになりました。口元が見る見るうちに、わななき歪んでその大きな眼から涙をポロポロとお落しになりました。

私は泣くには泣かれずに、唯、怖いような悲しいような思いで一パイになって、お父様の顔ばかり見ておりました。すると、お父様は何とお思いになりましたことか、突然に私を突き放しざま、私の左の頬を力一パイお打ちになりましたので、私は畳の上にひれ伏したまま、ワッと大きな声を立てて泣き出しました。私がお父様に打たれましたのは後にも先にも、これが初めてのお終いでした。

「まあ……あなた……何をなさいます」