Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

そうわ

挿話

徳田 秋声

Lesen Sie 挿話 (そうわ) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.544 Zeichen · 53 Bildschirme

Aozora Bunko

「いいわいね、お金ができれば持っていらはる」いつも気軽そうに長火鉢の前に坐っていた彼女たちの母親は、いつでもそういうふうであった。

「またいいこともある。悪いことばかりはないもんや」それも彼女の口癖であった。

実際また彼女の若い時分、身分のいい、士たちが、禄を金にかえてもらった時分には、黄金の洪水がこの廓にも流れこんで、その近くにある山のうえに、すばらしい劇場が立ったり、麓にお茶屋ができたりして、絃歌の声が絶えなかった。道太は少年のころ、町へおろされたその芝居小屋に、二十軒もの茶屋が、両側に並んで、柿色の暖簾に、造花の桜の出しが軒に懸けつらねられ、観客の子女や、食物を運ぶ男衆が絡繹としていたのを、学校の往復りに見たものであった。延若だの団十郎だの蝦十郎だの、名優の名がそのころ彼の耳についていた。金が夢のように費いはたされて、彼らが零落の淵に沈む前に、そうしたこの町相当の享楽時代があった。道太の見たのはおそらくその末期でしかなかったが、彼女はその時代を知っていた。

下へおりていくと、お絹が流しの方にいた。白い襦袢に白い腰巻をして、冬大根のように滑らかな白い脛を半分ほど出してまめまめしく、しかしちんまりと静かに働いていた。