Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていしょうせつとおんがく
探偵小説と音楽
野村 胡堂
Lesen Sie 探偵小説と音楽 (たんていしょうせつとおんがく) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.397 Zeichen · 7 Bildschirme
楽譜を暗号に使用した実例は、第一次欧州大戦の頃から、決して珍らしいものでは無いと言われて居るが、探偵小説に応用したもので、すぐれた例を私は一つも知らない。実例から言っても、疑わしい楽譜を読んで見て、それが音楽になって居なければ、唯それだけのことで間諜の暗号と見倣されるわけで、音楽気の無い探偵小説家が、出鱈目に作った楽譜の暗号などが、本当の意味で暗号の役目を果たす道理は無いわけである。日本の探偵小説にも、楽譜の暗号を使用した例を私は幾つか知って居るが、殆んど悉く子供だましで、此処に挙げるほどのものは一つも記憶してはいない。
私は嘗て――自分の事を言うのは甚だ恐縮だが、――サン・サーンスの「死の舞踏」のピアノ譜に、暗号を書き込んだという筋の小説を書いたことがあるが、甚だ不出来で赤面ものでしか無かったと思って居る。
これは実際にあった話だが、私の娘のK子がまだ生きて居る頃、娘の宛名で不思議な手紙が舞い込んだことがあった。それは五線紙に丁寧に書いた楽譜には相違ないが、ピアノでも叩けず、歌でも唄えないもので、最後の行に書いた骸骨の絵が、病弱で神経質なK子を、ひどく脅かしてしまったのであった。