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Japanische Klassiker mit Furigana

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せっぷんをぬすむおんなのはなし

接吻を盗む女の話

佐左木 俊郎

Lesen Sie 接吻を盗む女の話 (せっぷんをぬすむおんなのはなし) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.474 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

同時に三枝子は、彼女の最も新しい友達である静枝の、あの夫に対しても、自分の夫へのそれと似た感情を抱かずにはいられなかった。そういう、共同生活の責任を負わずに、自身の生活を他に築きながら、共同生活の一員として済ましていることの許されているのは、或る国の特権階級だけではないか。

「あなた! 今日は、お出掛けにならないんですの!」

「あっ! 出掛けるんだ。」

彼は、忘れていたというようにして起き上がった。

「厭でも、乗りかけた船だから、仕方が無いわね。」

「うむ。」

彼女の言った皮肉が皮肉として通じないのだ。彼はそそくさと支度をして出て行った。

三枝子は、夫が出て行ってしまってから、あの時、何故、ばたばたと畳みかけられなかったのだろう? と、自分が経済上の責任を負いながら、いつも夫の前に頭のあがらないような自分を後悔した。

彼女は、不愉快な自分の気持ちを紛わそうとして、恵子の手を引いて分譲地の荒れ野原の方へ出て行った。

恵子は、母親の前に立って駈け歩いた。すると向こうから、姫苦蓬や荒地野菊の雑叢の間を、静枝が此方ヘ歩いて来るのだった。静枝は女優のように着飾っていた。