Japanische Klassiker mit Furigana
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どうきゅうしつのしちにん
撞球室の七人
橋本 五郎
Lesen Sie 撞球室の七人 (どうきゅうしつのしちにん) von 橋本 五郎 (はしもとごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.589 Zeichen · 12 Bildschirme
交番から警官の見えたのは間もなくだった。警官は入口を這入ると、先ず一わたり室の中を見渡してから、
「皆その場を動いちゃいかん」と云いながら斃れている男の側へやって来た。警官の後ろから従いて帰ったゲーム取りは、しばらく入口に立っていて、やがて静かに扉をしめると、足音に注意しいしい計算器の椅子に凭った。
警官がいろいろ問い諮しているうちに管轄署からの一行が来た。そして正しい取調べがはじめられた。
夜――それもまだ宵の口の、何時もなら夜桜の話など出ているであろう撞球場の、入口を閉めて、警官が番に立って、そして死体を取り囲んで――それは、何かひえびえとさえする光景であった。暫くして捜査課の一行も乗り込んで来た。がここではその冗々しい取り調べの様を叙述する必要はない。黒子の男は確に短刀様の兇器で殺られたものであること、年齢は三十六七歳で、懐中には大型蟇口一個、現金四十五円参銭、それから女持金指輪二個を所有していた他、身許を知るよすがともなるようなものは一切発見出来なかったこと――くらいで充分であろう。いや確かに他殺と認められたに拘わらず、その兇器が、室内隈なく、それから七人の男達の検査が厳重にされたにも拘わらず、ついに発見出来なかったことだけは書き落してはならない。