Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme
「はや、干しものすんででありますの」
「どうやら乾くだけは乾いたらしいわ。まだまだあとが一仕事だけれど……」
食後休みをしているときつや子が訊いた。
「縫子はん、こんどは、えらい目にあわせて、すみませなんだのう。いつお帰ってでありますか。――もうこちらはよろしうありますから」
ひろ子が苦笑いに笑い出した。
「もうよろしい、はあんまり正直ね」
「きょう、そろそろいにましょういの」
「ね、つや子さん、私縫子と一緒に田原へ行って来ようと思うけれど、どうかしら」
「ほん、不自由させつめて、すみませんの。田原じゃったら家もきれいし、御馳走もあってじゃから……」
「そういうわけじゃないのよ。汽車が不通でどうせ動けないからね。今のうち田原へ行って置こうと思うのよ」
「ほん、それがよろしうあります」
全く念頭になかった家のことだの食物のことだのにふれられて、ひろ子は閉口した。ひろ子がおばたちの家で欲したのは、罪のない一つ二つの笑いだけだったのに。――
三時頃、まだ決心しずにいるひろ子のところへ、つや子がわざわざあがって来た。そして、
「縫子はん、何時頃、おかえりますの」
待ちかねる表情をむき出しに尋ねた。