Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme

Aozora Bunko

「よろしうあります」

「つやちゃんの人生だって、ほんとに気の毒だもの。いくさなんて、何てひどいんだろう――女の神経でつやちゃんを刺戟しまい、ね?」

「ほんそうでありますのう」

二人はだまってしばらく歩いた。永年の戦争は、この土地から、ここに生れ、ここに育った若者たちを、根こそぎよそへ運び出してしまった。その代り、見知らぬ他国から、これまでそこで生活し働いていた場所から否応いわせずひきはがされて来た男の群を、新道沿いの部落部落に氾濫させた。良人を奪われた妻たち、息子を失った母親たち、結婚しようとして相手をもち去られた娘たちは、夫々の思いで、その見知らぬ男の大群を見守った。男の群が膨脹するにつれて、物価が騰貴して行った。そして、どの男の眼にも、心の飢えが感じとられた。女たちの瞳の中に複雑な警戒の色があらわれ、同時に、どっさりの若い娘たちが、機会を失うのをおそれるような遑しさで、入りこんで来た男たちの妻となった。だが、そういう偶然によって男たちの妻になって行くことを考えられない娘もたまになくはなかった。縫子はその一人であった。縫子の住む界隈にのこっているのは、ほんの小娘の十七八がらみのものばかりであった。