Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme

Aozora Bunko

ひろ子はそこに、つや子の哀れを感じた。

母と二人きりになったとき、ひろ子は母の膝に手をかけて、

「お母さん」

と云った。

「お母さんのお心を思うと、わたしは、何とも云えないの。何てひどい物々交換でしょう。ね、お母さんは、大切な一人の息子とひきかえに、やっと一人の息子をとりかえしなさったのよ。何てことでしょう」

「ほんにのう」

母は、深い息をついた。そして、遠い山の頂の松を眺めながら、

「――進三がまだのこっちょる」

やさしい愛着にみちた母親の声でつぶやいた。

「あれのおるところに、食べるものはあってのじゃろうか……」

十六

目じるしにビロードの小切れを結びつけられたリュックが、再び頭の上の網棚にのっている。そのリュックの中には、お握りの弁当があり、丈夫な二つの紙袋があり、中ぐらいの大さの丸罐も一つ入っていた。紙袋の一つは万一の用心のための米であった。もう一つの紙袋には、挽きたてのハッタイ粉が入っていた。重吉からの手紙の中で、故郷のハッタイ粉をなつかしんで話していたのが思い出された。第一に、それを食べさせたい。じかにそれをつや子に云いかねて、ひろ子は縫子にそっとささやいた。