Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Lesen Sie 播州平野 (ばんしゅうへいや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.683 Zeichen · 214 Bildschirme
とても、そんなひまはなくなって来た」
「そうだろう? どこでもそうなんだ。うちの畑は、八月十五日をもって一段落だね」
「しかし僕は絶対にイモだけは確保するんだ」
河本が、すこしずつずる眼鏡を指で鼻の上に押しあげながら、苗が何本、その収穫予想はいくら。盗まれる分を三割として、実収は凡そ六十貫。それだけは確保すると力説した。
「大したもんじゃないか」
「大したものさ!」
河本は、それだけ甘薯を確保するについては、更にそれより意味のある計画のため、と匂わせて、それを云うのであった。
篤子が諧謔めかして笑った。
「まあ、わたしたちのところじゃトマトをたっぷり食べられただけいいと思いましょうよ」
人々の活溌な話しぶりの裡に、気がねをやめた多勢の声が揃う笑いの裡に、磁石の尖端がぴたりと方向を指す迄の震えのような、微妙な模索がうずいていた。ひろ子は、敏感になっている心につよくそれを感じた。誰も彼も、半月前迄自分たちに強いられていた生活は終ったことを確認している。同時に、誰もかれもの心に、まだいきなり早足に歩き出せない気もちと、計画の条件にまだ欠けたものがあることとが感じられている。