Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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そうしゅ

操守

豊島 与志雄

Lesen Sie 操守 (そうしゅ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.418 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

違っていた! 殆んど咄嗟に、本能的なのを意識的にまで、吉乃はそれを感じた。岡野の云うのが本当だ。商売なんかとは、まるで違う。別な、自分の知らない、愛慾の世界だ。清い取引ではない。汚らわしい。一寸した飛沫でも、身体が汚れる……。

彼女はぞっとして、澄代の手の下から身を引いた。

「わたしが男だったら、こんなひと、どうしようかしら……。」

鋭い火花が、瞬間、岡野の方へ投げられて、あとはさりげなく、酔をかぶった眼付で、彼女は吉乃の方へ寄ってきた。

「逃げてはいやよ。きょうだいだから、ねえ。」そして杯を二つ並べて、「あちらは喧嘩だから、こちらは仲よく……。」

けんで杯のやりとりをしている八重次と岡野の方へ、笑いを送って、自分で銚子を取上げた。

「あら……。」

八重次が急いで手を出そうとするのを、澄代は遮った。

「だめ、だめよ。他人禁制……二人きりで、内緒の話があるの、ねえ。」

吉乃は、妙に横柄な眼付と微笑の口許とで、うなずいて、杯を干した。そして此度は自分で、二つの杯に酒をつぎながら、じっと、明らさまに岡野の方を眺めやった。寝ころんで、何かに打ちのめされたような彼の姿が、ほんとに惨めに見えた。