Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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そうしゅ

操守

豊島 与志雄

Lesen Sie 操守 (そうしゅ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.418 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

彼女は平然と、自分の職分を守ることが出来た。

そこへ、彼の告白が落ちてきた。

秋の夜の差向いは、淋しい。しいんとしたなかに、どこからか、爪弾の音が伝わってきて、夜更けを告げる。中庭で、笹の葉がさらさらと鳴る……。でも吉乃は、明るかった。甘ったるいのんきな調子で、商売が不景気でも、お稽古が充分出来るのが楽しみだと、そして、お稽古仲間だと、遠くで聴いてても、誰が弾いてるのか、それが分るようになるから面白いと、そんなことを云い云い、爪弾の音色に耳を傾けたりしている。岡野もその方へ、吉乃の言葉へよりも多く耳をかしていた。積り重った伝統的な情緒が、彼を溺らそうとする。彼も溺れようとする。が彼の胸の中には、どす黒い塊りがあった。眼は熱く涙ぐんでいる。自分自身をわきから見守り鞭打ってる気持……。だが、吉乃へは取り縋れなかった。

「君は逢えば逢うほど……。」

「馬鹿に見える?」と吉乃は引取って云ったが……。

彼は、つまった言葉を涙になして、ぼろぼろとこぼしている。

「そう云った人があるわ。」

びっくりして、云い足して、それから彼女は微笑んだ。

然し彼は顔を挙げなかった。