Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎたい
擬体
豊島 与志雄
Lesen Sie 擬体 (ぎたい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.945 Zeichen · 25 Bildschirme
退社間際になって、青木は、ちょっと居残ってくれるようにと石村から言われて、自席に残った。同僚が退出した後の事務室は、空気までも冷え冷えとしてきた感じで、眼を慰めるものとてない。壁に懸ってる地図だのカレンダーだの怪しげな版画だの、毎日見馴れてるものばかりだった。受付兼給仕の宮崎がまだ残っていたが、衝立の陰で、何をしているのやら、ひっそりとして物音一つ立てなかった。青木はやたらに煙草を吹かしながら、新聞の綴込をぼんやり読みあさるより外はなかった。
石村は社長室で、来客と話し込んでいた。前の石村商事、今の石村証券の、彼は社長だったが、どういうものか、社員にも石村さんと呼ばせて、社長と言われるのを嫌った。もと陸軍の退役中佐だったが、終戦当時から中佐と言われるのを嫌ったのと、同じ意味合だったらしい。そして時間を守ることは几帳面で、社長室に来客があっても、社員には遠慮なく退出さした。もっとも、十人に足りない小さな会社なのである。
ちょっとというのが、三十分あまりかかった。石村は廊下まで来客を送り出して、それから事務室へ顔を出した。
「待たして済まなかったね。