Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎたい
擬体
豊島 与志雄
Lesen Sie 擬体 (ぎたい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.945 Zeichen · 25 Bildschirme
石村は眼をくるりとさして、揶揄するように微笑した。
「いいことを聞かしてやろうか。君はあれからまた、今西を喜久家に連れ込んだね。」
青木は口が利けなかった。今西巻子、それは石村証券の女社員だった。
「僕が知らないとでも思ってたのか。迂濶だね。喜久家は僕がよく飲みに行く家だよ。君がいくら内緒にと頼んでも、僕の耳にはいらないわけはないじゃないか。」
「済みません。金が無かったもんですから、つい、あすこを利用する気になったんです。然し、あすこの払いは、ボーナスで済ますつもりでいます。」
「金のことは気にしなくてもいい。僕が払っておいてやった。上海にいた時と同じことさ。然し、大事なのは……。」
言いかけたままで、石村はウイスキーをなめながら考え込んだ。
上海にいた時、それは戦時中のことで、石村は特務機関の仕事をやっていた。静安寺路の可なり立派なアパートに住んで、主として隠匿物資の摘発回収に当っていた。白系ロシア人や中国人をも手先に使っていた。その当時、青木も石村の下で働いていたのである。石村はしばしば本国に往来していて、終戦の時には丁度東京に帰っていた。運がよかったのだ。