Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
Lesen Sie 支倉事件 (はせくらじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 204.697 Zeichen · 406 Bildschirme
「どうしたのか」
大島主任は独房の中を覗きながら声をかけた。
「うーむ」
支倉は然し答えようともしないで唸り続けていた。
石子刑事は檻の中に這入って、支倉を抱き起したが、彼は蒼い顔をして苦悶をしているだけで、吐血した模様もない。
「どうしたんだ」
石子は呶鳴った。
「うーむ、苦しい、俺は死ぬんだ」
支倉は喘ぎながら答えた。
所へ急報によって警察医が駆けつけて来た。
小柄な老医は支倉の脈をじっと握っていたが、
「どうしたんだね、腹でも痛いのかね」
と優しく聞いた。
「えゝ」
支倉はグッタリしながら答えた。
「そうか、抛っときゃ治るよ。大した事じゃない。何か悪いものを食べたのか」
「えゝ、呑んだのです」
「呑んだ?」
医師は驚きながら、
「何を呑んだのだね」
「銅貨を呑んだのです。僕は、僕は死ぬ積りなのだ」
「何、銅貨を呑んだ」
石子は叫んだ。
「どこにそんなものを隠していたのだ」
支倉は苦しそうにグッタリしたまゝに答えない。石子は心配そうに医師に聞いた。
「大丈夫でしょうか」
「大丈夫です」
医師はうなずいた。
「銅貨を呑んだって死にゃしません。脈も確ですし、心配はありません」