Japanische Klassiker mit Furigana
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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
Lesen Sie 支倉事件 (はせくらじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 204.697 Zeichen · 406 Bildschirme
「神戸さん、ほんとうの事を云って下さい。庄司とぐるになって私をいじめないで、ほんとうの事を云って下さい」
と書いてあった。それも初めのうちは嘆願の調子だったが、それがだん/\悪意があるようになり、果は彼を侮蔑し罵るようになった。神戸牧師は努めて彼の手紙を黙殺しようとしたが、執拗な彼の遣方に終いには腹立しさを感じて、手紙を見るといら/\するようになった。
「又来ましたよ」
彼の妻も手紙が来る度に眼の色を変えて訴えるようになった。
「関わん、抛とけ」
牧師は尖った声でこう答える事が多くなった。
いつまで経っても支倉は恨みの手紙を送る事を止めなかった。
むしろ益※(二の字点、1-2-22)激しくなるのだった。
神戸牧師はこんな事を思い浮べながら、茫然と庭を見つめていると、妻が名刺を持って這入って来た。
「この方が支倉の事でお目にかゝりたいのですって」
彼女は不安そうに夫の顔を覗った。
名刺には「救世軍大尉 木藤為蔵」とあった。
救世軍の木藤大尉と云うのは一向知らない人なので、神戸牧師は暫く名刺を見詰めていたが、支倉の事に就てと云われると、会わない訳にも行かないので、兎に角通すように妻に命じた。