Japanische Klassiker mit Furigana
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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
Lesen Sie 支倉事件 (はせくらじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 204.697 Zeichen · 406 Bildschirme
「何だかお顔色が悪いじゃありませんか」
「うん、君のいつか話した聖書泥棒だね。あいつで今手こずっているんだよ」
「そうですか、未だ誰だか分らないのですか」
岸本は眼鏡越しに愛くるしい眼を無邪気に光らせながら聞いた。
「何、犯人は分っているんだが、捕まらないので弱っているんだ」
「そうですか。一体何と云う奴なんです」
「支倉喜平と云う奴なんだ」
「えっ、支倉?」
「そうだよ。君知ってるのかい」
「知っています。矢張りあれでしたか。どうも評判の好くない人でね。若い者にはすっかり嫌われているのです。所が教会の老人組と来た日には事勿れ主義でね。それに少し嘘涙でも流して見せようものなら、すぐ胡魔化されるのですから――それで何ですか支倉は逃げたんですか」
「僕が逃がしちゃってね、いやはや大弱りなのだ。実に大胆不敵で悪智恵の勝れた奴でね。こゝだけの話だが、実はとても俺の手に合いそうもないのだよ」
「そんな事はありますまいが」
岸本はニコリと笑ったが、急に真面目になって、
「本当にそんな悪い奴なのですか」
「悪いにも何にも、大悪党だ」
「そうですか。もしそうだとすると少し話があるのですが」