Japanische Klassiker mit Furigana
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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
Lesen Sie 支倉事件 (はせくらじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 204.697 Zeichen · 406 Bildschirme
彼が最後に一縷の望みをかけていた庄司署長は、彼の脅迫、彼の嘆願に何等顧慮する所なく、正面より堂々の論陣を張り、攻撃的答弁を以て、一々支倉の妄を難じ、嘘言を責め、彼をして殆ど完膚なきに到らしめた。
支倉が金科玉条と信じ、金城鉄壁と頼み、繰返し強訴した所の書類隠匿事件は、誠に区々たる事実であった。拷問、或いは利益を提供して自白を強られたと云う事も断乎として否認せられると、最早争う余地のない微々たる問題となった。庄司氏の雄弁ならざるも、確乎たる信念の下に押付けるような力強い言葉は、犇々と支倉の胸に応えた。殊に彼の自白の場面を詳細に述べられると、支倉自身さえも到底否定する事の出来ないような厳粛な気に打たれるのだった。
監房に帰ってからも支倉は黙々としていた。彼は次第に絶望に沈淪して行った。
けれども、支倉は流石に今や尽きんとする精力を奮い起して、うんと一つ踏み止まった。
裁判長がいけないのだ! 裁判長があんな生温い訊問の仕方をするから何にもならないのだ。もっとグン/\突込んで、恰度警察で被告を調べるように、少しでも前後矛盾する所があれば、声を嗄らし腕を振り上げてゞも問い質して呉れなくてはならない。